わたしは如何にして心配するのをやめて掛け算の順序を入れ替えるようになったのか

理由は簡単で記憶力が壊滅的だから。

九九をそのまま覚えようとすると81個覚える必要がある。これは当時の自分にとっては超高難度の課題であった。涙ながらに覚えていたのだがある日突然気がついた。

同じ答えのものがいっぱいあるぞ。

これはこの課題に苦しみ、他の生徒よりも長期間にわたって取り組む必要があったからこそ気がつけたのかもしれない。その同じ答えの九九の多くは掛け算の前後が入れ替わっているものだった。本来であれば81個覚えるべきところを、45個覚えるだけで済む。これは天からの救いのようであった。

当時は九九のテストとして教師の前に行き暗唱する必要があった。そこでわたしは暗唱につまづいたときには掛け算の前後を入れ替えたものを頭の中で思い描くことにしたのである。